2020/10/6
ケーブルテレビへの加入者は全世帯数の52%に達しているが、ケーブルテレビ事業として、その約6割は通信による収益で、映像配信では儲けられないのが現状です。これをどのように改善するか?
力のあるケーブル事業者は自前で光ファイバーを敷設して、映像はVONU(RFを電気から光に変換し、宅内で光からRFに変換する)を使い、通信はブロードバンドでサービスする。VONUの先にはCATV STBを接続する。これが一般的でした。
これを一挙に解決するのが、新しいIP-RF変換器を使ったブロードバンドケーブルの方式です。
まず、ブロードバンドのIPネットワーク部分は自前で敷設も可能ですが、大手通信事業者(NTT東西など)の光ファイバーを使います。インターネット接続への対応です。
映像配信には広域マルチキャストに接続できるIP-RF変換器を使います。これは、デジタルストリームを地デジRF信号に変換するユニットです。これを使ってこれまでと同様のケーブルシステムを構築します。
ただし、CATV STBは使いません。使うのはあくまでも地デジRF信号でテレビに直接、接続します。各家庭に設置するIP-RF変換器にはケーブルテレビの視聴制限機能を実装しているので、STBは不要です。テレビの空きチャンネルで受信します。
ではどうやって多チャンネルを実現するのか? テレビの規格を少し変更します。
テレビで選局されると、これまでは、テレビに内蔵しているチューナの周波数を変えていました。各放送にはチャンネル周波数というのが割り当てられています。その周波数を変えて選局するのがこれまでの方式でした。それを抜本的に変えるのが今回の提案です。
IP-RF変換器はテレビとLANで接続しています。テレビは新しいチャンネルが必要になると、IP-RF変換器に新しいチャンネル番号を要求します。変換器はそのチャンネルに該当するIPアドレスを選択し、デジタルストリームをプロトコルで確定した地デジRFに変換してテレビに送信します。
チャンネルごとに周波数を変えるのではなく、周波数は任意で固定にしておいて、広域マルチキャストで流れているストリームをピックアップしてくるのです。チャンネル選択は無限です。
この方式を採用すると何がいいか?? 以下、それを列記します。
1) ケーブル初期コストを大幅に低減できます。
必要なものはブロードバンドネットワークだけ。CATV-STBも高価なケーブルヘッドエンドも使いません。IP-RF変換器はVONU程度のコストになります。
2) 周波数帯域による限界がなくなります。
BS左旋 CS左旋などに帯域を拡張する必要がなくなります。使うのは地デジUHF帯域だけ。しかも数チャンネルの周波数で済みます。
3) 新しいチャンネル追加が簡単
全てのチャンネルはデジタルストリーム選択なので、必要なときにすぐに選択できます。不用になれば、即キャンセルできます。時間単位での視聴も可能になります。お茶の間にあるテレビで歌舞伎やクラシックコンサート等を面倒な操作なくリアルタイムで見られるのも遠い話ではありません。
それではデメリットは何か?
テレビの規格を少しだけ、変更する必要があります。選局メカニズムです。
ARIBの規格を少し、変更するだけで全く新しいケーブルシステムや4K地デジ伝送が可能になります。