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ネット接続対応テレビの変遷

ネット接続対応のテレビ

ネット接続のテレビをカテゴリごとにまとめると以下になります。

(1)IP-STB(2006年頃:IPTVと呼ぶ)
(2)フレッツテレビ(2008年頃)
(3)ハイブリッドキャスト対応のテレビ(2013年頃)
(4)アンドロイドテレビ(現在)

製品 伝送手段と
伝送方式
受信機 サービス
提供会社
開始時期
IP-STB 広域マルチキャストIP接続
ストリーミング
IP-STB NTTぷらら 2008年
フレッツテレビ FTTH – VONU RF方式 テレビ NTT東西 2008年
ハイブリッドキャスト対応のテレビ IP接続
HTML5(VOD+ダウンロード)
テレビ NHK
民放各社
2013年
アンドロイドテレビ IP接続
VOD+ダウンロード
テレビ YouTube
NETFLIX

上から順にサービスが開始されました。しかし、実はIP-STB方式(RTPストリーミング)、フレッツテレビ、ハイブリッドキャストテレビ以降の方式には技術的断層があり、光ファイバーの伝送手段を使ってはいますが、全く相容れないものとなっています。これは偶然になったものではありません。実は広域マルチキャスト配信を推し進める通信会社とRF伝送方式の中継局網との勢力争いが今日でも続いており、その結果、いびつなIP接続手段を生んでしまったのです。

以下に製品ごとの技術的な解説をいたします。

(1)IP-STB

IP-STBの入力はデジタルネットワークで、LANジャックで接続します。受信するデータはデジタル放送で使っているストリームと同じです(188バイトのトランスポートストリーム、 但し、圧縮方法は地デジがMPEG2に対して、IPはH.264になります)。代表的なものとして「ひかりTV」が挙げられます。

「ひかりTV」の構成

(※ ひかりTV公式サイトより引用)

ひかり回線は優先制御がかかったマルチキャスト網を使ってビデオストリーミングを配信しています。

優先制御とは総務省指導の名称です。総務省はマルチキャストで伝送するものを全て放送と考えます。放送はいついかなるときにも正しく受信機に配信する必要があります。そのため、通信回線が混雑して配信できなくなる状況を許しません。マルチキャストで送信する放送は優先的に受信機に配信する。これが基本条件になります。

この例のひかりTVはリモコンを2つ必要とします。一つはテレビ、もう一つはひかりTVチューナの制御です。これは非常に不便なので、ひかりTV一体型のテレビも販売されています(「ひかりTVチューナ機能対応テレビ」で検索できます)。

この方式が規格化され、テレビの一機能として実装されていると、日本は10年前には全てのテレビがIP接続されていました。例えば、全てのテレビ放送をひかりTVが使っているH.264で圧縮して同時配信していれば、ネットワーク経由で視聴することが可能でした。

残念ながら、そういった方向で規格化されることはありませんでした。IPTVで使っているRTPプロトコル(IPTVフォーラムが推進した規格)は結局 ハイブリッドキャストでも、規格化されることがなかったのです。

NTT東西は鳴り物入りでNGN(Next Generation Network)網を整備しました。2006年当時、最先端だったIPv6方式を採用しています。これは、全国網で極めて安定して動作します。広域マルチキャストIP網を使って放送内容を伝送するという明確な目的がありました。ところが、これを使ってサービスで成功したのは関連会社の「NTTぷらら」くらいで、その市場占有率はCATV市場(3055万世帯)のわずか2.5%です。

現在の法律では通信事業者は放送ができません。禁止されているのです。そのため積極的に放送に関与することができません。それが20年以上続き、その間に諸外国は着々とIP伝送へと軸足を移しました。IP放送という観点から考えると日本は発展途上国になります。

(2)フレッツテレビ

フレッツテレビはNTT東西がサービスを行っています。これまでアンテナを使っていたものを、光ファイバー経由で視聴できるようにしたものです。これをFTTH(Fiber To The Homeの略)といいます。

FTTHのシステム構成

(※ 引用:総務省 住友電工作成資料)

上段部が放送システムでRF伝送を行うものです。全国のNTT基地局(総数 約150)には地デジ+BSのパススルー用受信機があり、ここで受信した電波を電気信号から光に変換します。同時に全国ネットのデジタル伝送網から有料放送を受信し、自主放送で変調したものも多重します。最終的に光アンプ、カプラ、分配器を使って各家庭に配信し、V-ONUを使って光から電気信号に戻します。

これに対して下段の通信システムはインターネットなどのデジタル通信を担う部分です。デジタルIP網になります。

このテレビ配信方式は力ずくで構築したことになります。全国に150もの基地局があり、その全てにRF-光変換装置をおき、各家庭にVONUを設置します。光多重変換装置とVONUの間には光アンプが必要になります。なぜなら、伝送距離が長くなると光の信号強度が減衰するからです。ファイバーで伝送していますが、中身はアナログ量のままです。NTT東西の技術者はよくこの方式を採用したと思います。私からすると苦渋の決断であったように思います。

結局 テレビ放送をデジタル伝送することができないため、やむを得ず、コストのかかる方式を採用することになりました。 ただ、この方式では今回のBS左旋には対応できません。左旋周波数は、現状使っているケーブルの帯域を越えるので使えないからです。

このため、NTTはテレビごとに左旋のアップコン(送信するときにUHF帯域と未使用の帯域にダウンコンし、テレビ直前で本来のBS・CS左旋にアップコンする)ユニットを追加することにしました(※設立趣意「RF伝送方式の問題点」をご参照ください)。

こうしてFTTHは世界でも極めて稀なアナログ式放送伝送+デジタル通信網のシステムとなりました。ちなみに フレッツテレビの視聴世帯数は約160万世帯になります。

(3)ハイブリッドキャスト対応のテレビ

ハイブリッドキャストはNHKが2013年9月に開始したサービスです。その目的は放送とインターネットを融合するテレビの実現でした。放送局に設置したサーバをテレビからアクセスして映像を再生します。ユニキャストアクセスで言語としてはHTML5を使います。映像のコンテンツはファイル形式のもので、MPEG DASHに分類されます。残念ながら、IPTVで使っているリアルタイムストリーミングに対応することはありませんでした。
ハイブリッドキャストは鳴り物入りで導入されましたが、放送局以外のユーザが簡単に使えるものではありません。その理由はハイブリッドキャストサーバへのアクセスは放送と連動しているからです。チャンネルが登録された放送局が有利になります。リモコンボタンを押すとすぐに放送局のサーバへ誘導されます。ただ、一般的な用途として、HTML5でアクセスできるので、テレビをデジタルサイネージとして使うことが可能になりました。

結局、今日に至るまでテレビと通信は本当の意味で融合することはありませんでした。放送とインターネットの融合ではなく、放送と通信の融合を目指すべきだったと思います。

(4)アンドロイドテレビ

スマートテレビにはテレビ放送を受信する機能がありますが、グーグルが提供するアンドロイドテレビにはRF受信機能はありません。基本的にはIPTVやHTML5でアクセスするものです。RFを使わないテレビを理想と考えるとアンドロイドテレビはそれに該当します。面倒な規格準拠といった技術障壁はありません。搭載されているメディアコーデックをカスタマイズすれば、深い技術的知識がなくてもテレビ機能を実装することができます。開発時には便利なSDKが用意されていますが、量産導入ではライセンス費用やアップデート管理など厳しいグーグルのルールに従う必要があります。これを嫌った量産会社はLINUX OSに戻ってデコーダを開発する会社もあります。

放送局ではないNETFLIXは、テレビ製造メーカにリモコン費用を負担してチャンネル選局と同等のボタンを追加するという手法を採用しました。これで、専用アプリでNETFLIXの番組を視聴することができます。アンドロイドOS上で再生アプリを構築するのは簡単です。

本件に関するご意見・お問い合わせ

「4K IP接続テレビ」の実現に向けた提言に関して、みなさまの率直なご意見をお待ちしております。また、提案した方式へのご賛同やARIBへの規格化等、お気軽にお問い合わせください。
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